農業従事者の高齢化が進むにつれ、放置されたまま荒廃していく農地が目立つようになってきました。「このままではいけない。荒廃した農地を生き返らせ、元気な地域づくりを」こんな信念から地域再生への取り組みは始まりました。
荒廃した農地を再生させるまでの道程は容易なものではありませんでした。農地を所有されている方々との度重なる交渉、やっとの思いで協力者もでき案内された所は、草木に埋もれ足がまったく見えない状態の農地(左上写真参照)。どのくらい放置されていたのか…そこにはジャングルが広がっていたのです。
あまりの荒れようにユンボを使った作業も思うように進みません。草木を除いたあとの地面には元果樹園だったせいか石が散乱していました。機械では取り除くことができない石は社員の手により取り除きました。高岡を筆頭に農地はみんなの力で生まれ変わることができたのです。
常に作物が作られている農地では、収穫が終わると農家の方々の手によって肥料や新しい土が入れられ、いつでも次の作物を育てることができるよう準備しています。しかし、長い年月、誰にも手入れをされることがなかった農地は、そこに生えていた様々な木や草に土の中の養分を吸収され、固く痩せた土となっていました。以前のような栄養豊かな農地に戻すために何度も何度も有機たい肥をトラクターで土と混ぜ合わせることで土に空気が含まれ柔らかな土へ変わっていきます。
土中で微生物が活発に活動できる生きた土をつくるためには、たっぷりと時間をかけます。もともと水はけがよく、冬でも土の中が凍ることがない場所なので野菜などの栽培には非常に適しています。この地ににんにくやケール、ウコン、シモン芋などの有機農産物の生産を行っています。
協力者もなく、高岡と社員だけで始めた活動は次第に大きな輪となり、地域全体へと広がっています。その輪はついに行政までも動かし、西条市の協力を得るまでとなりました。また、愛媛県は地域に占める耕作放棄地率が全国ワースト5位で大きな問題になっていることもあり、弊社の開墾や再生事業を愛媛県知事自ら現地を見学に来られました。地元企業が、率先して農地再生に取り組む姿を見て県も協力していくという嬉しい言葉をいただきました。今後も地域の元気を育てるために頑張っていきます。